― 楽器を習う、その前に！～リトミックで身につく力（音楽面）～ ―

リトミックは、海外では「ダルクローズメソッド」と呼ばれています。日本では「スズキメソッド」などが音楽教育でよく聞かれますが、「ダルクローズメソッド」も欧米では大変メジャーな音楽教育法です。

20世紀初頭に、スイスの作曲家で音楽教育家でもあったエミール・ジャック＝ダルクローズ博士によって創案されたこのメソッドは、

音楽のための教育であり、音楽を通じた人間教育である

と言われていますよ。

今回はまず、【音楽のための教育】という観点からご紹介。音楽面でのリトミック効果についてお伝えします。

いずれピアノやバイオリンなど楽器を習わせたいなと思っている親御さまは是非、その導入となるリトミックの位置づけについて知っておかれることをお薦めします♪

【動く】ことで音楽を【経験】する！

音楽を聴いて即座に自分の頭で思考、判断して全身で表現する活動を通じ、
イメージ、感覚として様々な音楽要素を経験させること。

それがダルクローズメソッドの一番の特徴です。

当時それまでの音楽教育法に、「動く」という概念はなく、大変革新的だったと言われています。

具体的な音楽的項目としては

ビート（拍）
リズム（リズムパターン、リズムフレーズ）
ピッチ（音の高低）
ダイナミクス（強弱）
テンポ
ニュアンス
拍子
音符
ハーモニー

などが挙げられます。

これらの要素を全身で動くことによって経験することがリトミックの醍醐味です。

音楽のための教育、リトミック

教室では0歳のBaby Classからピアノに合わせて親子で動く活動を楽しんでいます。

たとえ生後半年ちょっとの小さなお子さんでも、音楽の変化に気づいてこちらを振り返ってくれたり表情が変わったりするのには毎回感動させられます。
1歳近くなると確実にある一定のパターンを期待してにこにこ音楽に集中する姿が見られるくらい、毎回の積み重ねが身についているのが伝わってきます。

加えて小さいお子様でも扱える打楽器を使ったり、自分の体を楽器とする「歌」なども含め、音楽と自分自身が連動する経験。そこで得た感覚は、やがて楽器に移行したときに豊かな表現力となって芽を出します。音楽を鑑賞するときの感性となって花開きます。

そもそも、音楽を表現する力とは？

最初からひたすら楽譜とにらめっこし、指先だけに全神経を集中させ、音符の数をカウントしながら帳尻を合わせるという反復練習で楽器を身につけるのも一つの方法ですが、小さいお子様にとって立ちはだかる壁が高く、その障壁の前で音楽が好きでなくなってしまうとしたら、本末転倒です。

またそもそも、楽譜に書かれている情報を正確に読みとり演奏することができたらそれは良い演奏と言えるのでしょうか。
残念ながら実はそうとも言えないのが現実です。
音楽の呼吸やニュアンスなど譜面に書かれていないことも読みとるセンスの有無、それが表現力、演奏においてのカギ。（例えばスゥイングの感覚やグルーブの感覚などは譜面には書かれていません）

「りんご」というひらがなが読めても、その色、味、手触り、匂いを知らなければつまらなく感じてしまうという状態なのです。

音を楽しみながら身につけていくリトミック

一方、音楽を背景にして、季節によって想像活動を交えながら自由表現を親子で楽しみ、音と動きの一致を体と心で感じる経験を積むという方法は、お子さまにとって無理がありません。何より「音を楽しみながら」音楽を続けていくための導入となる方法です。
もちろん、年齢、発達によって活動内容も複雑になり、知的理解に結び付けることも必須ですが、それが自然でスムーズな形でお子様に届くよう工夫しています。

たとえば教室では主に2歳（Class2）になると徐々にピアノと同じリズムを鳴らせるようになり、3歳（Class3）で音符を理解します。4歳（Class4）でリズムの譜面をスムーズに読めるようになり、聴音（ピアノの音が何の音か聴きとること）も身についてきます。5歳（Class5）になると自分でリズムを創作したり、楽譜を書いて簡単なメロディを作曲できるほどになっています！